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ひょう疽(ひょうそ)・化膿性爪囲炎 【オンライン皮膚科】

1. ひょう疽(ひょうそ)ってどんな病気?爪周囲炎 - Wikipedia

(画像はwikipediaより)

ひょう疽は、医学用語では「爪囲炎(そういえん・爪周囲炎)」とも呼ばれます 。指先や爪の周りにできた小さな傷から細菌が入り込み、化膿してしまう病気です

なぜこんなに痛いの?重症化しやすい理由

指の腹の皮膚の下は、細かい部屋(区画)のように分かれた特殊な「隔壁(かくへき)構造」をしています 。そのため、細菌が入り込んで化膿すると「膿(うみ)が外に抜けにくく、皮膚の下がパンパンに圧迫されて激痛が走る」のです

行き場を失った膿は奥へと進行しやすく、原因菌の毒素が組織を溶かし、ひどい場合には指の末節骨の「骨髄炎」や、炎症が広がる「リンパ管炎」にまで発展してしまう恐れがあります

 


2. ひょう疽の原因と「やりがちなNG習慣」

ひょう疽は、日常のちょっとした傷がきっかけで起こります 。以下の習慣に心当たりはありませんか?

 

【ひょう疽を招きやすい習慣・症状】

  • ささくれ・深爪をしている

  • 爪を噛むクセや、指しゃぶりをしている

  • マニキュア、ジェルネイル、甘皮の処理を頻繁にしている

  • 水仕事が多く、手が常に荒れている

  • 巻き爪や陥入爪(爪が皮膚に食い込んでいる状態)を放置している

  • トゲや魚の骨などが刺さった

※また、分子標的薬などの抗がん剤治療の副作用として、爪囲炎が高頻度で現れるケースも知られています


3. 原因別の具体的な治療方針とお薬

「たかが指の腫れ」と放置したり、自分で針を刺して膿を出そうとしたりするのは大変危険です 。原因に合わせて、病院では以下のような具体的なお薬や処置が行われます。

 

① 一般的な細菌性(黄色ブドウ球菌やレンサ球菌など)の場合

  • 治療薬: ブドウ球菌等に効果のある抗生物質の内服薬・外用薬を使用します 。がん治療に伴うものの場合は「ミノサイクリン」の内服が行われることもあります

  • 外科的処置: すでに膿がたまっている場合は、メスや針で切開し「膿を出す処置(切開排膿)」が必要です 。痛みが強い場合は、局所麻酔(1%キシロカイン液による指神経ブロックなど)を行ってから切開します

    1. 飲み薬(内服薬)

    身体の内側から細菌の増殖を抑え、腫れや痛みを引かせます。以下のようなお薬が「第一選択」としてよく使われます。

    • セフェム系抗菌薬 皮膚の感染症で最もよく処方される、安全性の高いお薬です。

      • セファレキシン(商品名:ケフラール)

      • セフカペンピボキシル(商品名:フロモックス) 
        当院では基本的にケフラールが第一選択となります。
    • ペニシリン系抗菌薬 ブドウ球菌などに強い効果を発揮します。

      • アモキシシリン・クラブラン酸(商品名:オーグメンチン)

    2. 塗り薬(外用薬)

    傷口がぐじゅぐじゅしている場合など、患部に直接塗って細菌を退治します

    • ゲンタマイシン(商品名:ゲンタシン軟膏)

    • ナジフロキサシン(商品名:アクアチム軟膏・クリーム)

    • オゼノキサシン(商品名:ゼビアックスローション・軟膏)

    • フシジン酸ナトリウム(商品名:フシジンレオ軟膏)


    ⚠️ 注意点(専門医からのお願い)
    • 「家に余っている抗生物質」を適当に飲むのはやめてください。菌の種類に合っていないと効かないばかりか、薬が効かなくなる「耐性菌」を生み出す原因になります。
    • 痛みが強く膿がパンパンに溜まっている場合は、抗生物質を飲むだけでは治りません。メスで切開して膿を出さないと薬が患部に届かないため、早急に対面の外科や皮膚科での処置が必要です

② 真菌(カビ)が原因のカンジダ性の場合

  • 水仕事が多い人などに起こりやすいタイプです

  • 治療薬: 「イトラコナゾール」などの内服薬や、抗カンジダ薬(抗真菌薬)を使用します

     

③ ウイルスが原因のヘルペス性の場合

  • 細菌ではなく単純ヘルペスウイルスが原因で、水疱(水ぶくれ)ができやすいのが特徴です

     
  • 治療薬: 「アシクロビル」などの外用薬や内服薬を使用して治療・再発予防を行います 。※ヘルペス性では切開排膿は行われません

     

④ 肉芽(盛り上がった赤い肉)ができている場合

  • 治療薬: 「テラコートリル軟膏」などのステロイド成分が入った軟膏や、強めのステロイド外用薬を使用します

  • 外科的処置: 液体窒素で肉芽を凍結させて固める治療や、原因となっている爪を部分的に切除する「部分抜爪(ばっそう)」、フェノールという薬液を塗って再発を防ぐ「フェノール法」などの処置が行われることもあります

     


4. 専門医が伝える、オンライン診療の「限界」と「強み」

当院ではオンライン診療を行っていますが、患者様の安全を守るため、ひょう疽治療における「限界」を隠さずにお伝えします。

⚠️ オンライン診療の限界(できないこと)

オンライン診療の画面越しでは、以下の処置や検査が絶対にできません

  • 溜まった膿を出すための「切開・排膿処置」

  • 肉芽を液体窒素で焼く処置や、爪を切る「抜爪処置」

  • 患部を触って膿の深さ(波動感)を確かめること

  • 炎症が骨まで及んでいないか確認するレントゲンやMRI検査

したがって、「すでに指がパンパンに腫れて黄色い膿がはっきりと見えている」「ズキズキ痛くて夜も眠れない」「指が黒っぽく変色している」といった重症な状態の場合は、オンライン診療ではなく、迷わず対面の皮膚科や外科を直接受診し、切開処置等を受けてください。

✨ オンライン診療の強み(できること)

一方で、以下のようなケースではオンライン診療が非常に強力なツールとなります。

  • 初期段階の悪化予防: 「ちょっと赤く腫れてきて痛いかも」という初期段階であれば、オンラインでの視診で迅速に抗生物質(内服・外用)を処方し、膿が溜まるほどの悪化を未然に防ぐことが可能です

  • 通院の負担軽減: 足の指のひょう疽など、痛くて靴を履いて病院まで歩くのがつらい場合でも、自宅で受診でき、お薬をポストまで直接お届けします。


5. 今日からできる!ひょう疽の予防とセルフケア

ひょう疽を防ぐためには、日頃のケアが大切です。

① 正しいスキンケア(保湿) 手洗いやアルコール消毒の後は手が荒れやすくなります 。ハンドクリームを塗る際は、皮膚だけでなく「爪自体」にもしっかりすり込むようにしましょう

② 水仕事の工夫 水仕事をする際は、カンジダ菌の感染や刺激を防ぐため、「薄手の綿手袋」をした上から「ゴム手袋」をするのが効果的です

③ 爪の正しい切り方(スクエアカット) 深爪は絶対にやめましょう 。爪は指先から1〜2mm程度出る長さにし、角を切り落とさずに真っ直ぐ切る「スクエアカット」にします 。切った後はネイルファイル(爪やすり)で形を整えると衝撃に強くなります

④ 痛みを和らげるテーピング法 お肉が爪にかぶってきている場合は、お肉を爪からはがすように引っ張りながらテープで固定する「テーピング法」や、爪の際に沿って巻く「スパイラルテープ法」が有効です

⑤ ネイルケアの注意 マニキュアを落とす除光液は、爪や皮膚を乾燥させるアセトンを含まないもの(アセトンフリー)や、保湿成分配合のものを選びましょう 。ジェルネイルは爪を削る負担が大きいため、炎症がある時はお休みしてください

 


まとめ

ひょう疽は、初期段階で正しくお薬を使えば悪化を防げる病気ですが、膿が溜まってしまうと切開手術が必要になることもあります

「まだ初期かな?」と思ったら当院のオンライン診療へ、「もう膿が溜まって激痛だ!」という場合はすぐにお近くの対面クリニックへ。ご自身の症状に合わせて、賢く医療機関をご活用ください。

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