脂肪はただの“ぜい肉”じゃない!?― 実はホルモンを出す大事な臓器 ―
この記事の目次
はじめに
「脂肪=余分なもの」そんなイメージを持っていませんか?
お腹まわりや二の腕についた脂肪を見ると、つい「落としたい」「邪魔だ」と感じてしまう人も多いでしょう。
しかし近年の医学では、「脂肪は単なる“ぜい肉”ではなく、立派な“内分泌器官(ホルモンを分泌する臓器)」として再評価されています。
つまり脂肪は、体に必要なホルモンや物質を分泌し、血糖値、炎症、血管の健康など、全身のバランスに深く関わっているのです。
この記事では、脂肪の知られざる役割と、「アディポカイン」「アディポネクチン」というキーワードを通して、健康的な体づくりの本質を解説します。

脂肪は“内分泌器官”だった
脂肪はこれまで「エネルギーの貯蔵庫」としてしか見られていませんでした。
しかし1990年代以降の研究で、脂肪細胞がさまざまな生理活性物質を分泌していることが明らかになり、それらを総称してアディポカイン(adipokine)と呼ぶようになりました。
アディポカインには、代謝や免疫、炎症反応などを調整する役割があり、体内の情報伝達を担うホルモンとして働きます。
つまり脂肪は、筋肉や肝臓、脳、血管など全身の臓器と会話している“内分泌ネットワークのハブ”なのです。
この「脂肪が出すホルモン」には良い働きをするもの(善玉)と悪い働きをするもの(悪玉)があり、そのバランスが健康を大きく左右します。
善玉ホルモン「アディポネクチン」とは
アディポカインの中でも特に注目されているのが、アディポネクチン(adiponectin)です。
これは“善玉ホルモン”とも呼ばれ、血糖と血管を守る重要な働きを担っています。
主な効果は以下の通りです。
・インスリンの効きを良くする:血糖を下げやすくし、糖尿病を予防。
・抗炎症作用:体内の炎症反応を抑え、慢性炎症を防ぐ。
・血管保護作用:動脈硬化を防ぎ、心血管疾患リスクを下げる。
つまりアディポネクチンは、「代謝」と「血管」の両方を守るホルモンであり、まさに“体を若々しく保つ鍵”と言えるのです。
内臓脂肪が増えるとどうなる?
問題は、脂肪が“どこにつくか”です。
皮下脂肪よりも、内臓のまわりにつく内臓脂肪が増えると、脂肪細胞の働きが変化します。
内臓脂肪が増えると、以下のようなことが起こります。
・炎症性アディポカイン(TNF-α、IL-6など)の分泌が増加
・アディポネクチン(善玉ホルモン)が減少
・代謝のバランスが崩れ、血糖や血圧、脂質が上昇
この結果、糖尿病、高血圧、脂質異常症、動脈硬化といった生活習慣病の温床となるのです。
つまり、脂肪の量そのものよりも、「内臓脂肪が多い」ことが病気のリスクを決める重要な要素なのです。
減量するとどう変わる?
健康的な方法で体重を減らし、特に内臓脂肪を減らすと、アディポネクチンの分泌は回復します。
実際の研究では、5〜10%の体重減少でもアディポネクチンが有意に増加し、血糖値・中性脂肪・血圧が改善することが報告されています。
つまり、「脂肪を減らす=ホルモンバランスを整える」ということ。
単に“見た目を引き締める”だけでなく、体の内側から若返ることにつながるのです。
ただし注意すべきは、筋肉を落とさずに脂肪を減らすこと。
過度な食事制限や短期間の無理なダイエットは、筋肉量を減らし、かえって基礎代謝を下げてしまいます。
筋肉を保ちながら内臓脂肪を減らすことが、ホルモンの健康を取り戻す近道です。

医療でできる“内臓脂肪減らし”
自力での減量は、時間がかかり、リバウンドしやすいという課題があります。
そのため最近では、医療の力を使って科学的にサポートする「メディカルダイエット」が注目されています。
主な薬の選択肢
マンジャロ(チルゼパチド)
GLP-1とGIPという2つのホルモン作用を併せ持ち、食欲を抑えつつ血糖を安定化。
糖尿病治療薬として承認されていますが、臨床研究では内臓脂肪減少効果も確認されています。
リベルサス(経口GLP-1)
注射が苦手な方にも続けやすい飲み薬タイプ。
食欲を抑え、空腹感を減らすことで自然に摂取カロリーをコントロール。
メトホルミン
血糖値を安定させるとともに、肝臓での脂肪合成を抑制。
糖尿病予防や内臓脂肪対策としても有効とされています。
これらの薬は、単独で使うのではなく、生活習慣の改善と組み合わせることが前提です。
医師の管理のもと、適切な量・期間で使用することで、安全かつ効率的に内臓脂肪を減らせます。
脂肪と“上手に付き合う”ために
ここまで読むと、「脂肪にも役割があるのは分かった。でも、やっぱり減らしたい」と思う方も多いはずです。
確かに、内臓脂肪が増えすぎると健康リスクが高まります。
しかし、脂肪をゼロにすること=健康ではありません。
私たちの体には、「必要な脂肪」と「過剰な脂肪」があります。
皮膚の下にある皮下脂肪は、体温を保ち、外からの衝撃を和らげるクッションのような役割を果たしています。
また、女性の場合はホルモンバランスの維持にも欠かせません。
つまり、“脂肪の適量”を保つことが、健康な代謝の基盤なのです。
食事とアディポネクチンの関係
アディポネクチンは食事によっても影響を受けます。
特に、魚・ナッツ・オリーブオイルなどに含まれる良質な脂質(不飽和脂肪酸)は、アディポネクチンを増やすことがわかっています。
一方で、揚げ物やスナック菓子などのトランス脂肪酸は、逆にアディポネクチンを減らす原因となります。
また、急激な糖質制限や断食も要注意です。
短期的に体重は減っても、体は“飢餓状態”と判断し、脂肪をためこみやすくなります。
食事は「減らす」よりも、「整える」。
1日3食を規則的に、よく噛んで、バランスよく摂ることが、長期的な代謝改善につながります。
ストレスとホルモンバランス
ストレスもアディポネクチンの大敵です。
強いストレスが続くと、副腎から「コルチゾール」というホルモンが分泌され、これが脂肪の蓄積を促してしまいます。
特に内臓脂肪はコルチゾールの影響を受けやすく、ストレス社会の現代では“心の負担が脂肪に現れる”とも言われています。
北摂オンラインクリニックでは、こうした心理面にも注目し、
必要に応じて行動療法的アプローチ(小さな成功体験の積み重ね)を取り入れています。
「痩せるために我慢する」ではなく、「自分の体を理解して整える」。
その発想の転換が、継続可能な健康づくりの第一歩です。
医療とともに、続けられる減量を
肥満治療やダイエット支援の目的は「見た目を変えること」ではなく、
「その人らしい健康を取り戻すこと」です。
北摂オンラインクリニックでは、短期的な結果ではなく、半年・一年後も続けられる“現実的な方法”を提案しています。
薬の力を借りながらも、最終的には患者さん自身が「食事・睡眠・運動のリズムを取り戻す」ことをゴールとしています。
医療と伴走しながら、あなたの代謝・ホルモン・心のリズムを整えていく──
それこそが、リバウンドのない“本当の健康ダイエット”のあり方です。

北摂オンラインクリニックのサポート体制
北摂オンラインクリニックでは、体重や数値だけでなく、
「生活背景」「心理状態」「食習慣」まで含めたトータルサポートを行っています。
・内科専門医によるオンライン診療(全国対応)
・睡眠・ストレス・食事バランスまでカウンセリング
・メディカルダイエット(GLP-1製剤など)の安全な処方
・科学的根拠に基づく治療と生活改善の両立支援
「やせたいけど続かない」「運動が苦手」「健康診断で脂肪肝と言われた」
そんな方でも、自宅から気軽に相談できる体制を整えています。
初回オンライン相談:15分/3,300円(税込)
生活習慣の見直しと、医学的サポートの両輪で、あなたの体を内側から整えます。
まとめ
・脂肪は「ホルモンを出す臓器」であり、体の代謝を調整している
・善玉ホルモン「アディポネクチン」は血糖と血管を守る重要な働きをもつ
・内臓脂肪が増えると炎症物質が増え、アディポネクチンが減少
・健康的な減量で内臓脂肪を減らすと、アディポネクチンが増加し代謝が改善
・医療のサポート(GLP-1製剤など)で、安全かつ効率的に脂肪を減らせる
・北摂オンラインクリニックでは、心理・生活・医学の3方向から減量を支援
脂肪は敵ではありません。
むしろ、あなたの体を支える“臓器”の一つです。
大切なのは、脂肪とどう向き合うか。
「脂肪を減らすこと」=「自分を責めること」ではなく、
“ホルモンのバランスを整えて健康を取り戻すプロセス”としてとらえることが重要です。
北摂オンラインクリニックは、医学的な知識と心理的サポートで、
あなたが「脂肪を敵視しない減量」を実現できるよう伴走します。

